仏に結婚を誓う挙式スタイル。1892年に浄土真宗本願寺派の藤井宣正が東京白蓮社会堂に挙げた結婚式が最初といわれている。
菩提寺の本堂で行う場合が多いが、本尊を安置して公民館や家庭で挙式することも可能である。その場合は、司婚者として僧侶を呼んでおこなう。
仏前結婚式を挙げるのはほぼ仏教関係者に限られており、一般的にはほとんど行われていない。仏前結婚式の式次第は、宗派によって、形式にも多少の違いがある。
仏前結婚式の流れ・式順
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親族・参列者入堂
仏前に向かって右側に新郎側、左側に新婦側の親族・参列者が並ぶ。
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新郎新婦入堂
新郎新婦が媒酌人に付き添われて別々の入口から入堂し、中央で両方が出会い正面の壇前に進む。
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司婚者入堂
結婚式を司る僧侶(司婚者)が入堂し、焼香する。一同は合掌。
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敬白文朗読
司婚者が仏前に向かい、これから結婚式を行うことを報告する敬白分を読み上げる。一同は起立。
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念珠授与
司婚者は、仏前に供えてある念珠のうち、白いリボンのついた方を新郎に、赤いリボンのついた方を新婦に授け、新郎新婦はこれを両手で受け左手の四指にかける。念珠は結婚式が終わるまで持つ。
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誓約の言葉
司婚者の問いかけによって、新郎新婦が仏前で結婚を誓う。この誓いにより司婚者は、結婚式の参列者一同に婚儀の成立を認める旨の誓詞を朗読する。誓詞は宗派や寺院によって異なる。
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焼香
左手に念珠を下げ、新郎新婦の順に右手で焼香し、合掌礼拝する。
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誓杯
神前式結婚式の「三三九度」にあたる。雅楽が奏せられる中、仏前式結婚式では、新婦・新郎・新婦の順で行います。
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親族固めの杯
次に参列者一同で祝杯をあげる。新郎の盃を新婦の両親、親族に順次受け、新郎のほうから運んだ盃は媒酌人へ、新婦のほうから運んだ盃は媒酌人夫人に、それぞれ盃をおさめて誓盃を終わる。
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法話
仏道に則りお祝いの説話をする。
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退堂
新郎新婦を先頭に参列者一同退場。
※その後、披露宴を催す場合は披露宴へと移る。仏前での式は正式には新郎新婦の焼香までで、誓盃は司婚僧が退席してから行う場合もある。